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Your search : [ author:作者 劉国芳え 高栄生] Total 90 Search Results,Processed in 0.100 second(s)
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1. 道
大雪の朝、父が息子を連れて外出しました。私のうしろを歩きなさい、と父は何度も言うのですが、息子は……大雪が降り、道路をふさいでしまいました。雪の上を、人が歩きはじめました。でもみんな、一人分の幅の狭い道を行き来するだけです。はじめは雪が積もっていたところですが、歩く人が多くなったおかげで、雪がとけてしまいました。それが、いま道になっているのです。彼は、その道を歩いているところです。十歳になる息子が
Author: 作者 劉国芳 え 高栄生 Year 1994 Issue 5 PDF HTML
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2. 眼
子供の脳裏に焼きついていた父親の顔は……あの頃は、人も羨む睦まじい一家だった。暇があると全員そろってよく街に散歩にでかけたが、外にでるときはいつも彼女が息子の手を引き、夫が彼女によりそって歩いた。彼女はいつも子供の手をしっかり握っていたが、それというのも、街には自転車が多い。向こう見ずな若者が自転車で大通りをわが物顔に走りまわっているのを見ると、彼女は急いで息子を抱き上げるのだった。ある時とうとう
Author: 作者 劉国芳 え·王金泰 Year 1996 Issue 3 PDF HTML
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3. 憧れのベランダ
夢にまで見たベランダを手に入れて彼女は……私は幾度も、ベランダのあるアパートに入居した夢をみた。夢の中で、私はじっとベランダに立って流れる雲を眺めたり、目の下を行き交う大勢の人を見下ろしていた。ベランダは色とりどりの草花で言葉に表せないくらい美しく飾り、さらに風鈴をつるして、心地よい音を演奏させた。だがこれはどこまでも夢で、眼が覚めるといつも、窮屈なウサギ小屋でぼけっとしている自分を発見するのだっ
Author: 作者 劉国芳 え·王丹丹 Year 1997 Issue 8 PDF HTML
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4. 窯火(ようか)
雪の夜、白い狐のような影がすらりと目の前に立った窯(かま)に火を入れて三日三晩、高温の加熱期間はもう終わり、いよいよ火を弱めて低温にする段階になった。通風口からひとつ取り出してみると、今度の窯のぶんは、できぐあいがとてもいい。男はひと息ついた。窓の外に冷えびえと舞う雪と、窯のさかんな火を眺めつつ、男はまたあの女、三十すぎの寡婦のことを考えていた。あれは、山に入って窯を焼きはじめた最初の日だった。女
Author: 作者 郭沛光 え·高栄生 Year 1993 Issue 3 PDF HTML
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5. 茶仙
彼らはため息をついて言いました。スゴい―まことの茶仙だ!謝宝興は百歳の仙寿をむかえました。それは全く以て、お茶をたしなんできたおかげでした。謝屋は、数千人の人が住む大きな村で、平野に面し、後ろに丘をひかえています。謝宝興の父はお茶の葉だけを売るささやかな店をやっていましたので、謝宝興も子どものときからお茶にどっぷりつかって大きくなりました。父親は言ったものです。この子には天分があるぞ。いちど竜井茶
Author: 作者 姚錦波 え·高栄生 Year 1994 Issue 3 PDF HTML
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6. 宵待草の鉢
この宵待草の鉢が、二人の感情を破裂させる導火線となった。すべてが、その日に終わった。彼と彼女は、初めはたいそう幸せだった。幸せな日々は時とともに流れてゆき、幸せという状態がだんだん微妙に変わっていった。そしてあるとき、それぞれがそのことをさとった。軽い失望感が心のなかに生まれたが、どちらもそれを口に出すことはしなかった。ある日、二人の生活の中に鉢植えの宵待草が加わった。彼女がわざわざ花市から買って
Author: 作者 薛涛 え 高栄生 Year 1994 Issue 8 PDF HTML
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7. 愛のそらごと
この短編は、人民解放軍編集の雑誌『菎斎』に掲載されたもので、主人公の夫も軍人という設定になっています。妻が、礼儀小姐(リーイーシヤオジエ)(ホテル、レストラン、商店などの入り口で客を送迎する女性)コンテストに出る、と言う。これには全く仰天させられた。だがもっと驚いたのは、僕がろくに考えもせず、しかもにっこり笑ってOKし、誠意と理解を顔ぢゅういっぱいにしたことだ。僕にこの話を切り出したとき、妻は頬を
Author: 作者 范紅斌 え·高栄生 Year 1994 Issue 12 PDF HTML
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8. 褒賞金
夕飯どき、ここの廊下は煙と湯気がもうもう立ちこめ、米をとぐ者、菜っ葉を洗う者、なべをこそげるやら、火を起こすやら、行ったり来たりで、うっかり歩けないほどのにぎにぎしさだ。トントントン……野菜をきざみながら、私は隣の魏さんの家のおかゆのなべの番をしている。魏さんの奥さんは家の中で子供を叱っていて、手がはなせないのだ。「パパ!」栄栄が階段をかけ上ってくるなり、耳に口を寄せてこっそり言った。「魏さんの小
Author: 張英 え高栄生 Year 1983 Issue 7 PDF HTML
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9. 残された原稿
田光光は、なすこともなく部屋の中に立っている。昨日、父は元気だった。気に入りの作家のものを読んで、ほめたりしていた。それが今朝早く手洗いに立って倒れた。脳卒中はおそろしい。さいわい発見が早く、向かいのドアに住んでいるのが内科の医師だったので、「勝手に動かしてはいけない、家の中で応急手当をします」と言ってくれた。たちまち家の中が一変し、救急車でかけつけた医師と看護婦で部屋の半分がいっぱいになった。父
Author: 張欣 え·高栄生 Year 1987 Issue 8 PDF HTML
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10. 祖父
汽車での八時間は、車両の連結部に立ったままで、食堂車どころかトイレにも行けず、人の肩に押されて片足が宙に浮いても身動きもできなかった。それからまたバスで四時間、缶詰めのいわしになって、やっと大晦日のうちに私は郷里にたどりついた。年越しには一家がそろわなければならないという、何千年らいの習慣のせいで、こんな苦行をさせられる。家には、父、母、弟二人、妹、八十三の祖父がいるが、北京にいる私のところへ、し
Author: 韶華 え·高栄生 Year 1987 Issue 12 PDF HTML